糖尿病内科の治療
糖尿病内科の治療についてご紹介します。最も大切なことは、早期の発見と治療の質です。
治療について
SYMPTOMS AND TREATMENT
糖尿病の症状と治療について
糖尿病と診断されると、これまでは食事の改善やお薬を併用して血糖値を下げることに一生懸命であった時代が長く続きました。しかし近年では難治症例を除くと血糖コントロールは概ね達成できるようになり、治療は次の段階にシフトしつつあります。国内外で多数のエビデンス(臨床研究による結果)が蓄積された結果、治療の質(食事・運動療法の内容、薬剤選択、血糖目標値、血圧・脂質管理など)が重要だと分かってきています。
糖尿病の治療において最も大切なことは早期発見・治療であることは言うまでもありません。早めに予備軍や軽症糖尿病の患者さんに適切なアプローチをすることで、10~20年後が大きく変わってきます。
現在はお薬の種類も増え、より効果的な治療ができるようになりました。以前のようにただやみくもに血糖値を下げるのではなく、患者さんの病態、合併症の程度、他疾患の有無などを含めてリスク管理をすることで、健康寿命を延ばすことは十分可能だと考えます。
主な合併症について
糖尿病の怖さは合併症にあります。初期段階は自覚症状があまりないので、放置したまま進行が進み、数年から10年程度で非常に恐ろしいさまざまな病気を引き起こします。
以下の合併症は、糖尿病になると発症のリスクが高まったり、病気の進行が早まったりすることが判っています。
糖尿病特有の合併症
細小血管障害(細い血管がつまる:三大合併症)
- 糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)
- 糖尿病腎症(とうにょうびょうじんしょう)
- 糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)
血行障害から眼底の細い血管がつまることで発症します。眼底出血をおこすと視力低下の原因となり、最終的には網膜剥離などを起こして失明にいたります。視力低下と網膜症の重症度が必ずしも一致しないので自覚症状で判断せずに定期的な眼底検査が必要です。
高血糖が持続すると腎臓のフィルター(細い血管)がつまり、血液のろ過がうまくできなくなります。悪化すると人工透析が必要となります。人工透析を導入する原因の第1位は糖尿病腎症で、毎年約5000人(2015年度)ものペースで増え続けています。定期的な尿検査でアルブミン尿や蛋白尿を検査することが重要です。
高血糖の状態が続くと、手足の血行が悪くなり、しびれや感覚が鈍くなるなどの症状が典型的には両手両足(左右対称性)の末梢(手先・足先)に出てくる手袋靴下型の神経障害を起こします。他にも低血糖でも気が付かなかったり、心筋梗塞による痛みを感じなかったりすることがあるので注意が必要です。
糖尿病でリスクが高くなる合併症
- 細菌感染症
血糖値が高くなると白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、感染症にかかりやすく悪化しやすい状態になります。
大血管障害(太い血管がつまる:脳卒中、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症など)
- 心筋梗塞
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- 閉塞性動脈硬化症
心臓を栄養する冠動脈が主に血栓(血の固まり)によって急につまって心筋(心臓の筋肉)に血液が届かなくなった結果、心筋が壊死に陥る状態で、生命の危険があります。
脳の血管がつまると脳梗塞、破れると脳出血になります。脳に十分に血液が届かなくなり、神経細胞が障害され麻痺や言語障害、場合によっては命にも係わることがあります。
足の動脈に動脈硬化が起こり、血管がつまってくると、しびれや冷感、だるさや痛みなどの症状が足に現れ、悪化すると潰瘍や壊疽が起こることがあります。診察以外では足首と、上腕の血圧を同時に測定するABI検査で簡単に診断することが可能です。またこれらを予防するためには足の観察を毎日するフットケアが大事です。
その他
上記以外に、糖尿病が関与することが示唆される合併症として、サルコペニア・骨粗鬆症・認知症・がん・歯周病などがあります。